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CULTURE

イスラエルで最も人気を誇る日常ウェブドキュメンタリー

独占インタビュー|イタイ・アッシャー (Kan ディレクター)

by ISRAERU 編集部 |2020年12月04日

イスラエルで最も人気のあるウェブドキュメンタリーシリーズ「Dokutaim (ドコタイム)」の制作監督イタイ・アッシャー氏。彼のドキュメンタリーは、映画製作へのまっすぐなアプローチとともに、日常の個人を平等に捉えることで未知のものを標準化しようとしています。YouTubeでも17万人ものチャンネル登録者を抱え、100万再生を超える多くの動画がアップされています。


Itay Asher at “Kan”. Photo by Aya Efraim, 2017.

現在、イスラエルの放送会社「Kan」のトップディレクターを務めるイタイ氏ですが、その前はイスラエルの伝統ある新聞社で18年間働いていました。そして2014年に同社がエルサレムポストに買収された際、デジタル革命の現実を目の当たりにしたのです。


「もはや報道において紙媒体だけに留まることが不可能であり、デジタル媒体に移行する必要があることにようやく気づきました。」


そしてドキュメンタリー映像の制作を開始し、その細やかな描写は全国的に注目を集めました。


ドキュメンタリー制作における自由放任主義アプローチ

イタイ氏が創る映像は、被写体に極力干渉せず、その人本来の生き生きした描写に迫ります。


「最初は質問すらしませんでしたね。視聴者からの信頼を得るために、台本は存在しないというメッセージを伝えるためです。」


Kanは、二極化を避けるコンテンツの制作を目指しています。 「イスラエルのニュースを見た人なら、誰でもここでは内戦が起きていると思うかもしれません。が、しかし、それはメディアがそれをどう扱うかということでしかないのです。左翼対右翼、世俗対宗教、ユダヤ人対アラブ人、のように。」


Kanは、大多数の人々がさまざまな考えや価値観を持っていることを示したいと考えています。



「私たちは人々を均質化しません。これはデジタル革命が強く強調していることです。誰もが特別な一人の人間です。ある人についてもっと知りたい場合は、その人物が所属するグループではなく、その人自身を調べてください。」


「誰もが語る価値のある物語を持っている」

「ドコタイム」は、イスラエル社会の日常を記録したKanによる最初の映像シリーズです。


「私にとって、ある典型的な人に固執して映像を制作することが重要なのです。シリーズの映像は、過半数を占める人々、つまりマジョリティについての映像です。」


イタイ氏は、すべての人が話す価値のある物語を持っていると信じています。彼の映像の多くは、人々との偶然の出会いの結果として生まれています。



「かつてアッコを歩き回り、人々が崖から海に向かって飛び降りているのを見ました。そこで私は誰が最高のジャンパーであるか尋ねました。すると近くのレストランの料理人を紹介され、彼の電話番号を入手することができ、映像の撮影まで辿り着けたのです。ある一つのことが、また別のことにつながっていきます。あなたが世界に出ると、何でも起こり得るのです。」



ルールは破られるものである

Kanは、日常にスポットを当てるメディアプラットフォームですが、イタイ氏は、「異常」を受け入れることにも躊躇しないと述べています。つまり「境界のない物語」です。


彼の作品には、障害のある人々や意外な関係についてのストーリーも含まれます。 さまざまな現実を標準化することで、未知への恐れを排除したいと考えているのです。


「メディアでは、障害を持つ人々はどのように扱われているのでしょうか。彼らのストーリーは常に陰鬱に描写され、平等な人間としてすら描写されず、その代わり、助けを必要としている人として表されています。これらの人々ですら他の人と同じように正確に描写したいと思っています。また私は、この率直でわかりやすいストーリーの伝え方が、私たちが成功した理由であると信じています。」


Behind the since of a video about a cannabis farm in the Gaza Strip with the photographer Eitan Riklis, 2020.

イタイ氏は、典型的なプロフィールストーリーの制作には満足しません。彼は常に人々の表面からさらに掘り下げ、ユニークで個性的なストーリーを抜き出そうとしています。


「ルールは破られるものである。私はその人をさらに詳しく知ることで、やり過ぎることなく、彼らが本当はどんな人物であるかを理解しようと努めています。」