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Art

写真展:「Inside out(インサイドアウト)~日本人とイスラエル人の視点から見る親密さと集団性~」

by ISRAERU 編集部 |2022年12月19日

©Kazuyoshi USUI

イスラエル、テルアビブの北部ヘルツリーヤにあるテオ・アート・センターで開催されている写真展「Inside out(インサイドアウト)」。イスラエルと日本の国交70周年を記念したイベントです。日本大好きイスラエル人、Dalit Merhav(ダリット・メルハーブ)がキュレーションしたこの写真展は、文化、社会、国家、地理的な文脈から異なる視点を反映した日本人とイスラエル人の写真家15名、50作品を紹介しています。


ダリットがこの写真展で表現したのは、“イスラエルと日本の親密さと集団性”。全く異なる文化と歴史を持つイスラエルと日本。近年、両国間では飛躍的に進歩を遂げている科学技術や工業技術、貿易、さらには文化的な交流も盛んです。これら多くの交流がある一方で両国に文化的な共通点はあまり見られません。


ダリットは「むしろ日本とイスラエルの社会や文化のあり方は異なり、日本対イスラエルとして、自制 vs 放縦、秩序 vs 混沌、内向きと同質性 vs 外向きと多様性、といった正反対の言葉で言い表せる」と説明します。さらに「これらの正反対の側面がむしろ双方の好奇心や関心を掻き立てている」と教えてくれました。


では、アート、とりわけ写真は2つの国の共通する点や違いを表現できるのでしょうか。ダリットは、両国には“伝統を大切にする精神”や“過ぎ去った日々への憧憬”に共通点があると言います。


ダリットはスナップ写真という社会の特徴を表現する優れた芸術媒体により、イスラエルと日本の共通点や違いをクローズアップしています。写真という媒体は今や芸術表現の中心であり、普遍的な言語として誰もが使える手段です。ダリットはこの2国を敢えて比較することはせずに、写真をただ並べておくだけで充分として、見るものの感性に委ねる展示手法を取っています。


©Hirohito Nomoto

古い建築物はその一例です。60年代に急速に建設された建物の記録として展示されています。イスラエルでも日本でも、多くの人々が都市部に移り住んだ時代には、どこでも同じような建物を見ることができます。廃業したデコラティブなパチンコ店(日本)。古びたモダン・アパートメント(イスラエル)。


©Eli Singalovski

日本のある写真家は昭和の時代に強い関心を持っています。その一人、山本雅紀(やまもとまさき)は2017年に引っ越すまで家族と暮らした昭和の文化住宅を、家族の暮らしぶりに焦点を当てつつ撮影しています。“さらけ出す”という表現がぴったりくるような、見るものの感性を揺さぶる写真です。


©Masaki Yamamoto
©Masaki Yamamoto
©Masaki Yamamoto

イスラエルの写真家からは、ある家族が都市部を離れ、人家のない低木や草木のみの野原で自給自足の生活を送っている様子を撮っています。映し出されたのは「自由」なのか「自然との営み」なのかわかりません。感じるまま、想いを膨らませてみてください。


©Avishag Shaar Yashuv

ダリットはこれらの写真家たちを古くから知っており、特別な思入れと誇りを持って展示しています。写真家それぞれが非常にユニークな才能を発揮しており、創造的な世界観と同時に、写真家の個人的な視点や民族的な視点も見てとることができます。


写真家15人で50作品。日本での開催も望まれます。

展覧会情報

キュレーター兼プロデューサー:Dalit Merhav(ダリット・メルハーブ)
開催期間:12月31日まで
会場:テオ・アート・センター(イスラエル)