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BUSINESS

アイケアを新たな習慣へと変える:眼科医のニーズから生まれた目元ふきとりシート

独占インタビュー|エリ・フィッシャー博士(フィッシャー・ファーマシューティカルズ株式会社 創設者)

by ISRAERU 編集部 |2023年04月05日

花粉や汚れを落とし目を清潔に保つイスラエル発ドクター・フィッシャー目元ふきとりクリーンシート(液たっぷりタイプ)

イスラエルではどの家庭でも必ずといっていいほど同社製品が使われているという、FischerPharmaceuticals Ltd.(フィッシャー・ファーマシューティカルズ株式会社)は、1965年にイスラエルのテルアビブで設立されました。眼科および皮膚科製品の研究開発と製造を専門とする同社の製品は、現在40カ国以上で親しまれています。


同社の創設者であるエリ・フィッシャー博士(Dr. Eli Fischer)は、科学者であると同時に実業家でもあります。眼科および皮膚科の分野で影響力のある科学者として膨大な知識とスキルを駆使し、革新的なアイケアおよびスキンケア製品を発明してきました。本記事では、同社の「ドクター・フィッシャー 目元ふきとりシート」の日本市場における本格展開にあたり、博士にご自身や同社、目元ふきとりシートなどについてお話を伺いました。


フィッシャー・ファーマシューティカルズ株式会社 創設者 エリ・フィッシャー博士
フィッシャー・ファーマシューティカルズ株式会社
創設者 エリ・フィッシャー博士

―――まず、博士ご自身とフィッシャー・ファーマシューティカルズ社についてお聞かせください。


私は医学の基本は生化学だと考えていたので、まずエルサレムの大学で生化学を学んだ後、アメリカのカリフォルニア大学において薬学の博士号を取得し、現在でも広く医療の場で活用されている緑内障の目薬の開発に携わりました。その後イスラエルに戻り、1965年に妻と二人でフィッシャー・ファーマシューティカルズ社を立ち上げたのです。


エリ・フィッシャー博士、1975年
エリ・フィッシャー博士、1975年

当社は創立当初から目薬と皮膚薬に特化しており、これまでに約40種類の目薬を開発しました。診断用医薬品、ステロイド剤、抗生物質、一般用医薬品など数ある当社製品の中でも、とりわけ目薬はここイスラエルにおいてほとんどの眼科医が使用しています。眼科医や病院関係者、そしてイスラエルの家庭には必ずと言っていいほど当社のスキンケア製品が置かれているんですよ。現在約40カ国で販売されており、イスラエル国内では輸入品や海外製品と比較して、ベビー用品は市場の60~70パーセント、ファミリー向け製品も50%以上を占めています。



―――ご夫婦お二人で起業し、成功までの道のりは簡単ではなかったと思います。起業当初の印象に残っているエピソードはありますか


たった100平方メートルのオフィスで、私がすべての製品開発を行い、妻はマネジメントと品質管理などのすべてを担当していました。眼科医をターゲットに営業をはじめましたが、創立したばかりの当社を知るものは誰もおらず、また当時20代後半だった若い私の話を聞いてくれる人はなかなか見つかりませんでした。


1990年、同社工場と従業員
1990年、同社工場と従業員

彼らを説得するのには非常に長い時間がかかりましたが、自分の持つ生化学と微生物学と薬学の基礎知識を使って、根気強く学術的側面から対話を続けた結果、徐々に製品が受け入れられるようになったのです。最初の約2年間はほとんど誰にも相手にされず、会社の当初の成長はとても緩やかなものでしたが、現在では1,000人近くの従業員を擁する企業に成長しました。


―――コーポレートスローガン “Dr. Fischer Tried & Tested” にまつわるエピソードを教えていただけますか


カリフォルニア大学で緑内障用の目薬を開発した後、大学に開発費を助成した製薬会社であるファーム・サイエンス社から、開発した薬の製造ライセンス取得のために1年間働いてみないかと誘われました。大学卒業後、厳格な世界規格に沿った製品ばかりを扱う同社において働いた経験から、自分で会社を立ち上げた後も製品は最初から一貫してFDA(※1)規格に従って製造しています。このような経緯から「Tried & Tested(十分な試験済み)」というスローガンを掲げることとなりました。



そのおかげで、当初から多くの国への輸出が可能になりました。当社の日焼け止めやアイケアなどの製品は、イスラエルではトリートメントコスメティック(治療用化粧品)として扱われており、アメリカでは「コスメシューティカルズ(化粧品医薬品)」と呼ぶ人もいます。


―――目元ふきとりシートの日本での販売が開始されました。 日本におけるアイケアの現状についてどう思われますか?



人間のまぶたは、夜は寝ている間に分泌されたものが付着し、昼にはほこりやスモッグ、花粉などの汚れにさらされています。そして目のトラブルの主な原因の1つは、これらの汚れが適切に除去されないことによるのです。日本人は一般的に、健康や衛生状態の維持のためにより意識的で熱心であることから、日本市場は当製品と相性が良く、製品も高い評価を受けています。毎朝、毎晩の歯磨きのように、目元ケアをルーティンとするために理想的な製品といえるでしょう。




―――目元ふきとりシートはどんな悩みを抱える方に向いていますか?どのような場面で使うことができ、また使うことによって何が期待できるのでしょうか。


目元ふきとりシートの使用は、現代特有のブルーライトに起因する眼精疲労、屋外でのアクティビティ、目元が敏感な方用のメイク落とし、つけまつげやコンタクトレンズなどの使用による目元の不快感を低減します。また当製品は防腐剤を含まず、涙の出ない低刺激性で敏感な肌にも対応しており、眼科検査の承認を受けています。つまり、どなたでも安心して使うことができることから、目の健康を守りたいと考えるすべての方に向いています。また当製品は目薬と同じ成分が使われているため、目薬の使用頻度を減らすことができることもわかっています。



眼科医は、アレルギー、乾燥、そして日常生活の中で目の衛生を保つための補完的な治療として、患者にアイケア製品を推奨しています。現在では、アイケアは補完的な治療法としてだけでなく、ライフスタイルやウェルビーイング市場においても、さまざまな目的に有効であると位置づけられるようになりました。



―――目元ふきとりシートは眼科医のニーズから生まれたと伺いました。開発の背景にはどのようなエピソードがあったのでしょうか。


当社は目薬を専門に製造する製薬会社として、眼科医と日常的に接し、彼らや患者からのニーズに耳を傾けており、当製品はそのニーズを反映しています。実はFDAは、毎日目の周辺を洗浄しメンテナンスすることは、健康を維持するために必須であるとして、目のトラブルの予防治療のため、水で薄めた液体ベビーシャンプーに浸したコットンで洗うことを一貫して独自に推奨しています。歯でさえインプラントなどの技術を用いて取り替えが可能な現代においても、目は取り替えが効かないにも関わらず、人々の関心は目の衛生に対してはほとんど向けられていません。QOLを保つためには歯のクリーニング同様、毎日アイケアを行うべきなのです。


Youtube Dr. Fischer Global チャンネルより

しかし、競合他社のアイワイプはどれもベビーシャンプーがベースになっているため、「ご利用の際には、目を閉じて使用し、目に入らないようにしてください」と注意書きされています。目の周りに使うのに、目に入らないようにというのはおかしいと思いませんか?そこで世界で唯一、ドライアイ用の目薬をベースにアイワイプを開発しました。当社の目元ふきとりシートは目にダメージを与えず、目の中に入っても安全です。


また当社は、1965年から50年以上にわたって眼科用医薬品を専門に扱う、いわば「目の専門メーカー」である一方、ふきとり用シートの工場を持つスペシャリストです。普通、目薬を作る会社を持っていても、ふきとり用シートについては何も知りませんし、逆も然りですよね。当社は偶然その両方の知識を持ち合わせており、この「目薬とふきとり用シート」というユニークな組み合わせが製品開発に結びつきました。


同社のふきとり用シート工場
同社のふきとり用シート工場


―――フィッシャーファーマシューティカルズは、コミュニティとのつながりと社会への貢献を非常に重要視しているファミリー企業だそうですが、具体的な取り組みについて教えていただけますか。


人を助け、人を思いやり、未来を見据えた製品を作るため、医薬品から皮膚や目のケア用品まで、現場から発生する問題の解決策となるような製品の開発に、多くの思考と労力を費やしています。私の父は医師で、日々の仕事の中で人々に貢献していました。父が歩んできた道を引き継いで、人々に貢献し、日常に安らぎを与え、助けることができるような製品を作りたいと考えています。人種、宗教、性別を問わず、さまざまな人々を採用し、価値観、団結、平和のメッセージを伝えることを徹底しています。


妻は、「Art for peace collection」プロジェクトを立ち上げ主導しました。戦争の危険性と、国家間の平和と調和が常に必要であることを示すことを目的とした、教育的アートプロジェクトです。これは、私たちが長年にわたって会社として貫いてきた姿勢でもあります。


Art for peach collectionウェブサイト

―――素晴らしい取り組みをご紹介いただきありがとうございました。最後に、ご自身の経験から若い起業家にアドバイスをお願いできますか?


困難に見舞われても、そこからチャンスを見出してください。困難は、新たなアイディアに辿り着くための好機であると捉え、そこから学ぶ姿勢を大切にしてください。これが、これまでの経験から未来の起業家たちに向けて伝えたい言葉です。


自ら苦労を厭わずに行動すること。人のせいにしないこと。どんなときも基本をおろそかにしないこと。自分の夢に対しては、働く時間の限界を決めないこと。そんな覚悟を持って努力し続けられる人が起業家として成功することができます。当社も、今でこそイスラエルの「Dun's 100 Anual Ranking of 2022」においてファーマシューティカルとコスメティック部門の11位に選出されるほどの大企業となりましたが、最初は私にも妻にも、人生にも工場にも苦しい時期がありました。しかし、この「困難」を乗り越えられたときには、確実に成長している自分に出会うことができるのです。



※1: アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administrationの略)は、食品や医薬品、医療機器、化粧品などの消費者と接触がある製品について、安全性の検査や違反品の取り締まりを行うアメリカの行政機関。


ドクター・フィッシャー




フィッシャー・ファーマシューティカルズ株式会社は、1965年、科学者であり実業家でもあるエリ・フィッシャー博士によってイスラエルに設立されました。緑内障の治療薬を開発し、世界中のクリニックで使用されるようになった眼科分野での成功は、眼科分野にとどまらず、皮膚科、その他の分野でも画期的な変革をもたらしました。現在、ドクター・フィッシャーの製品は、世界中で日常的に愛用されています。

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