実はイスラエルでは、新年は秋に祝います。9月末から始まるユダヤ新年に続き「ヨム・キプル(贖罪の日)」、「スコット(仮庵の祭り)」というユダヤ教の祝日があり、連休ではありませんがトータルで約2週間ほど(!?)の休日になります。
今回は気になるイスラエルの秋の祝日の過ごし方を紹介します。
あまーい年を!イスラエルのユダヤ新年とは?
一年で一番大切な祝日と言っても過言ではない、ユダヤ新年。この祝日の1番の特徴は、家庭的な祝日であることです。新年に限らず、ほとんどの祝日は実家に帰り親戚と集まることが多いのですが、新年は特に家族との時間が大事にされます。これは日本の新年とも似ていますね。
もうひとつの特徴は秋に祝わうことです。ユダヤ暦によって毎年、日にちは変わるのですが、ほとんど9月末に祝われることが多いです。
さて、新年最大のイベントは新年前日(ニューイヤー・イブ)に家族で食べる晩餐です。とても豪華なディナーで親戚が大勢集まり、夜中まで共に過ごします。
ここ数年、新年のディナーの前にプレゼントを渡すことが恒例となりました。夫婦でプレゼントを買い合ったり、おじいちゃん、おばあちゃんに贈り物をしたりします。
▲イスラエルのチョコレートブランド、マックスブレナーの祝日向けギフトセット
最近ではユダヤ新年が近づくと、会社からもクーポンや商品券をもらえるので、皆、楽しみにしています。驚くのがイスラエルのITやスタートアップ企業。私の知人はなんと日本円で約4万円分(!?)の商品券をプレゼントされたそうです。祝日に加え商品券・・・なんとも羨ましいですね。
ユダヤ新年のシンボルは「りんごと蜂蜜」です。学校や会社、家庭でリンゴにはちみつをつけて食べるのですが、この風習には「リンゴと蜂蜜のように甘い一年を過ごせますように」という、なんともロマンチックで素敵な意味が込められています。
その他にも甘い一年になるよう、パンに砂糖やはちみつをつけて食べたり「何事でも先頭になれるよう」魚の頭を食べたりします。
▲魚の頭の代わりに魚のミートボールを食べる家庭も。
そしてユダヤ新年で忘れてはいけないのが「ザクロ」。ザクロの実のように、たくさん善い行いができるようにとの願いを込めて食べるのです。
▲ザクロはケーキに使ったり、サラダの上に散りばめたり、様々な食べ方をします。
▲かわいらしいザクロパン。インスタ映えもばっちりです。
それぞれ食べるものに意味があり、日本のお節料理に似ていますね。
新年では大切な人、パートナーや家族、友達にメッセージカードや手紙で、新しい年に向けて祝福の言葉を綴ります。
最近ではSNSやアプリで新年の祝福をすることが一般的になり、新年前夜にはひっきりなしにおめでとうメールが届き、SNSは新年のディナーの写真でいっぱいになります。
自分を見直すための断食。ハードで楽しい贖罪の日
さて、皆さん、24時間以上の断食、つまり何も飲まず食わず過ごす1日を体験したことはありますか。あまり経験されたことがないと思いますが、イスラエルではほとんどのユダヤ人が一日断食の経験者です。
断食の理由は「贖罪の日」です。
贖罪の日(ヨム・キプル)とは、1年の行いを改めて考え、自分の態度、行動や言動がどうだったか見直す日です。
心から自分の行いを見直すために、考えることの邪魔となりうる食事や、電化製品の使用を避けます。
もちろん、断食する、しないは個人の自由です。しかしテレビ番組は一切放送されず、自動車の使用は暗黙の了解で禁止されています(法で禁止されているわけではありません)。なので贖罪の日は全国が歩行者天国! 車道を歩き放題の特別な一日なのです!
▲ヨム・キプルにはこんなこともできちゃいます!
▲ヨム・キプル。テルアビブにて。
現代の目まぐるしい生活の中、毎日するべきことに追われる日々で、自分の行動や言動を考え直す機会はあまりないのではないでしょうか。
昔から続く風習ですが、現代でも、むしろこんな時代だからこそ、大切にしたい風習ですね。
仮小屋で乾杯!スコット祭り
秋の最後の祝日はスコット。スコットはヘブライ語で仮の小屋という意味で、ユダヤ人の祖先がエジプトを脱出したときに仮小屋に住んでいたことに由来します。現代でもこの時期になると、家庭の庭やベランダに仮小屋を建て、デコレーションをし、その中でスコットの晩餐をいただきます。
仮小屋は「一時的なもの」を意味するものでもあり、私たちの人生の一時的なもの、そうでないものを思い出させる役割を果たしてくれます。
小さな仮小屋のなかで、親戚が皆ぎゅうぎゅう詰めになりながらディナーをするのはすごく楽しく、本当に大切なものは豪華な家ではなく、かけがえのない家族との時間だと再確認させられる祝日です。
今年の祝日は新型コロナウィルスの影響で、イスラエル全国がロックダウン状態になることが予測されています。イスラエル中から親戚が集まるこの時期には、感染のリスクも高くなることが理由です。
このように家族と会えない中でも、ビデオ電話などで同時に晩餐を行う、ロックダウン前に実家に帰り、3週間のロックダウン期間を家族と過ごすなど、工夫をして祝日を過ごすようです。
以上、イスラエル、特にユダヤ教徒の秋の祝日について紹介しましたがいかがでしたか?
皆さんも、この機会に今年の自分の行いをふり返ってみてはいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれませんよ。
では、シャナ・トバー(良い新年を)!
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