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BUSINESS

イスラエル人弁護士が国境を越えたビジネスの懸け橋に。

独占インタビュー|ゼエフ・ワイス(イスラエル・日本友好協会&商工会議所会長、ワイス・ポラット法律事務所 シニアパートナー)


世界第3位の経済大国であり、多くの多国籍企業や強力な購買力を誇る日本。日本と比較するとイスラエルは小さなプレイヤーではありますが、それは必ずしも不利であるとは限りません。


日本やアメリカ、ヨーロッパや中国といった、はるかに大きなプレイヤー間における激しい競争を利用し、イスラエルでは製品ではなくイノベーションを提供することで、自分たちの市場を活性化しています。


日本のような大国にとってイスラエルは協業しやすく、またゼエフ・ワイス氏の働きは有難いものになっています。今日、イスラエル・日本友好協会&商工会議所会長であるワイス氏は、これまでのキャリアにおいて、日本とイスラエルの懸け橋として大きく貢献してきました。そのおかげで、日本、イスラエルはお互い法律や文化の矛盾を心配することなく、ビジネスを発展できるのです。


今回ISRAERUウェブマガジンでは、イスラエル企業そして日本企業との仕事を通して、国境を越えた取引をスムーズに運ぶことを可能にしたワイス氏の洞察を伺うことができました。


日本とイスラエルを繋ぐ弁護士

まず弁護士としてスタートしたワイス氏は、大学卒業後、ワイス・ポラット法律事務所を設立しました。

そして東京のイスラエル大使館で働く友人を訪ねたことが、彼が日本に目を向けることとなったターニングポイントであると彼は語ります。


「イスラエルの会社とソフトウェアのライセンス取得に関する契約を結び、法的な問題に巻き込まれてしまった日本企業の話を友人から聞きました。そのイスラエル企業は、ソフトウェアを日本で展開することに合意し、日本企業はローカライゼーションに多額の投資をしたのですが、その後イスラエル企業は倒産し、日本企業はどうすればよいのかわからない状況に陥ってしまったのです。


今日、問題が発生した場合に備えて、契約時に製品のノウハウ(ソースコード)を受託者に託すのが通例です。しかし彼らはそれをしておらず、どう進めるべきだったか知らなかったことに気付いたのです。当時、日本には私以外にイスラエル人弁護士がいなかったようで、私が依頼を受けなんとか契約を締結することができました。」


「クライアントを座って待つ弁護士ではない」

この取引により、ワイス氏はもっと多くのことを渇望するようになりました。日本企業はイスラエルについてほとんど何も知らなかったので、彼は積極的かつ型破りなアプローチで、日本企業とイスラエル企業の協業を促進することを決意したのです。


「日本とイスラエルに関する仕事をしたかったので、繋がりを作るため色々しましたね。いわゆるクライアントを座って待つような弁護士ではないので。このことが功を奏しました。日本企業にイスラエルへ来るよう説得しイスラエル企業へ紹介する、こうしてクライアントが増えていったのです。日本企業には、私たちのような地元の弁護士が必要ですからね。」


ワイス氏の努力が実を結び、現在ワイス・ポラット法律事務所は、多くの日本企業のイスラエル代表を務めています。「私たちは日本人とのビジネス経験が豊富にあり、20年以上の付き合いがあるクライアントもいるのですが、彼らとは深い絆で結ばれています。」


2019年日本で開催されたShinto Jewish Seminarにて

法的および文化的違いの仲裁

法は文化に不可欠であり、文化は法に不可欠であると、テルアビブ大学で日本を専門とするアジア研究において修士号を取得し、文化に関する問題を熟知するワイス氏は語ります。


典型的な例は、契約の概念です。日本では、書面における契約はイスラエルと比較するとそれほど重要とされていません。重要なのは、当事者が一緒に働くという意図とお互いの信頼です。一方イスラエルでは、欧米と同じく、書面による契約は非常に重要とされとても詳細です。


2019年1月エルサレムにて元経済大臣 世耕弘成氏、ノア・アッシャー氏とゼエフ・ワイス氏

ワイス氏によると、政府機関を含む日本のクライアントは、イスラエル人と仕事をする際にまず短い契約書を使用しますが、そこには最悪の事態が生じた場合の言及はありません。一方イスラエルでは、最悪の事態が生じた場合に備えて、事前に解決策を記載します。


「日本のクライアントが、日本の標準的な契約書を使用していることがありました。しかしイスラエルと仕事をするうえで、日本で使用されている短いの契約書では、何か問題があった場合の対応ができません。そこで、このことをクライアントへ明確に説明し、より詳細な契約書を作成するよう説得しなければなりませんでした。しかし最終的に彼らは私のアドバイスを受け入れてくれたので、とても嬉しかったです。」


政府に代わりこの複雑な問題に事細かく対応したことにより、日本政府より称賛の手紙を受け取ったことをワイス氏は誇らしげに思い出します。


2018年、JAL航空会社と直行便に関する意見交換会にて

もう一つの大きな障害は言葉の壁でしたが、クライアントと築いた信頼と忠誠心により、この障害さえも価値あるものであるとワイス氏は感じています。「一度信頼を得ると、それはそう簡単には崩れません。日本人はとても真面目で深みがあり、物事が明確になるまで諦めるようなことはしません。」現在ワイス氏の法律事務所の「日本人」チームには、日系企業とイスラエル企業の複雑な取引を専門とする、彼の息子であるエイラム・ワイス氏と、イスラエルの資格を持つイスラエルで唯一の日本人弁護士であるシラ・プリオン氏で構成されています。


日本人とイスラエルのビジネスマンが出会う場所

ワイス氏の異文化間における仕事は、商工会議所を通してさらに拡がりを見せました。イスラエル企業と日本企業の交流を促進するメインのプラットフォームとして、さらにビジネスを加速させる商工会議所の会長を務めることに、彼は真の使命を見出しています。


「商工会議所は、日本とイスラエルのビジネスコミュニティがであるための重要なプラットフォームです。この分野には多くのプレイヤー、政府機関やビジネス組織がありますが、ビジネスマン自身で構成されるのは商工会議所のみです。ここは、日本のビジネスマンがイスラエルのビジネスマンとである場所なのです。」


2019年12月、毎年開催されているIJCCのイベントにて理事会メンバー シュムエル・シュニッツァー氏、在イスラエル日本大使館 相星大使、ソフィア・グゲレフ氏と

通常、商工会議所ではイスラエルを訪れる日本の代表団のホストを務めますが、最近ではZOOMで行われるようになりました。またイスラエル企業が自社を紹介する月刊ニュースレターを配信し、イスラエルのパートナーやサポートを探している日本企業にソリューションを提供しています。


商工会議所の仕事は、ワイス氏に日本と働く最初の機会を与えてくれた機関によって支えられています。


「私たちは、駐日イスラエル大使館、そして素晴らしいヤッファ・ベンアリ大使の支援を受けています。経済的観点からの大使の役割は、国同士の関係を発展させるのに非常に重要なことです。」


ワイス・ポラット法律事務所

http://www.weisslaw.co.il/japanese/


商工会議所

https://ijfscc.wixsite.com/isr-jp