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MEDICAL

血管を若く保つことが、健康寿命を延ばす鍵に? イスラエルの研究チームが老化の新たなメカニズムを解明

by ISRAERU 編集部 |2026年11月06日

ヘブライ大学の研究で、血管形成を促すタンパク質「VEGF」の重要性が明らかに。マウス実験では寿命が20%延び、加齢に伴うさまざまな健康上の問題も軽減されたといいます。はたして、健康寿命を延ばすことにつながるのでしょうか。


血管形成因子VEGFと血管の健康をイメージした医療系CG

ヘブライ大学による最新アンチエイジング

年齢を重ねるにつれて、私たちの身体では筋肉量の減少や骨密度の低下、脂肪の蓄積、慢性的な炎症など、さまざまな老化現象が進んでいきます。その背景には、血管の衰えが深く関係しているのかもしれません。


イスラエルのヘブライ大学医学部の研究チームが発表した最新の研究では、血管の老化が全身の老化を引き起こす重要な要因である可能性が示されました。研究では、血管の形成を促すタンパク質「VEGF」の働きを高めることで、マウスの寿命が20%延びたほか、加齢に伴う複数の健康上の問題が軽減されたと報告されています。


研究を主導したのは、ヘブライ大学医学部のエリ・ケシェット教授と、共同研究者のミリアム・グリーンウォルド博士です。ケシェット教授は、2021年にイスラエル賞の生命科学研究部門を受賞しています。


研究施設で血液サンプルを扱う研究者と顕微鏡

血管の減少が全身の老化につながる?

研究チームが注目したのは、「VEGF(血管内皮増殖因子)」と呼ばれるタンパク質です。VEGFは、胎児の発育段階から成人期に至るまで、血管の形成を促す重要な役割を担っています。


血管は、身体の隅々に酸素や栄養素を届けるために欠かせない存在です。特に毛細血管は、細胞との間で酸素や栄養素を交換する重要な役割を果たしています。胎児の発育とともに形成される血管は、成人後も損傷や加齢によって減少した部分を補うため、新たに作られる能力を保っています。


しかし、加齢とともに血管、特に毛細血管の数は減少していきます。研究チームは、この血管の減少こそが、筋肉や骨、肝臓など、全身の臓器や組織の老化を加速させる要因ではないかと考えました。


血管と細胞活動を表現したCGイメージ

VEGFを増やすことで、寿命が20%延長

研究チームは、加齢に伴ってVEGFの働きが弱まる原因にも着目しました。VEGFと結合してその働きを抑える受容体が、年齢とともに体内で増加することが関係していると考えたのです。


そこで、血液中に分泌されるVEGFの量を調整できるよう遺伝子改変したマウスを使い、VEGFの利用可能量を増やす実験を行いました。その結果、VEGFの働きを妨げる受容体の影響を上回る量を確保することで、必要な血管数を維持できることが分かりました。


通常のマウスと比較したところ、実験対象のマウスでは寿命が20%延長。さらに、単に長く生きるだけでなく、健康な状態で過ごせる期間にも改善が見られました。
具体的には、加齢に伴う筋肉量の減少(サルコペニア)や腹部脂肪の蓄積が大幅に抑制されたほか、骨量は対照群より30%多くなりました。これは、骨粗しょう症のリスク低減につながる可能性を示す結果です。


また、酸素供給の改善によって、細胞内でエネルギーを生み出すミトコンドリアの機能も向上しました。さらに、脂肪肝や慢性的な炎症も少なく、がんの発生も対照群より大幅に抑えられたと報告されています。


血管の健康から、老化研究の新たな可能性へ

今回の研究は、血管を維持することが、単に循環器系の健康を守るだけでなく、全身の健康寿命にも影響する可能性を示しています。


健康寿命の延伸をイメージするアクティブシニアのグループ

ケシェット教授は、今回の成果によって、血管の老化が全身の老化につながるという仮説を裏付けることができたと説明しています。今後は、こうした効果をもたらす具体的な分子メカニズムをさらに解明していく方針です。


なお、今回の成果は遺伝子改変マウスを用いた実験によるものであり、人間に同様の効果が得られるかどうかは、今後の研究が必要です。また、VEGFはがん細胞の血管新生にも関与するタンパク質であるため、人間への応用には慎重な検証が求められます。


血管の健康を維持することが、将来の老化対策や健康寿命の延伸につながるのか。イスラエル発のこの研究は、老化の仕組みを捉え直し、健康的に年齢を重ねるための新たな研究の可能性を提示しています。


*本記事はイスラエルメディアynetの報道をもとに構成しています。