イスラエル企業とビジネスを始める日本企業は年々増えています。
一方で、「話が噛み合わない」「進め方が想像と違う」と戸惑う声も少なくありません。
その原因の多くは、日本とイスラエルのビジネス文化の根本的な違いにあります。
本記事では、長年イスラエル企業に携わる著者が、イスラエルと日本のビジネスにおける大きな違いと、イスラエル人と仕事をする上で知っておくべき心得を、実体験を交えて解説します。

目次
イスラエルのビジネス
イスラエルは世界で1、2位を争うスタートアップ大国です。人口1000万人前後の小さな国で毎年800〜1400社程のスタートアップ企業が誕生しています。アップル、フェースブック、グーグル、マイクロソフトなどの世界企業が、イスラエルのイノベイティブ企業を買収、もしくは研究開発拠点をイスラエルに移すなど、高い注目度を集めています。
日本企業を含む多くの企業によるイスラエルのスタートアップ企業に対する出資のニュースが連日流れており、今後もイスラエルの革新的でユニークかつ尖がった技術を持つ企業と日本企業のコラボレーションは増えていくでしょう。
イスラエル人と日本人の性格の違い
さて、ビジネスといえども、やはりビジネスをするのは人間。そのためイスラエル人と日本人の性格の違いを事前に知っておく事が大切です。
それでは、私達日本人は世界からどう見られているのでしょうか。

これまで世界の様々なお客様に、日本人の性格についてアンケートを行ったところ、“ultra honestly”=「超正直者」、「謙虚」、「内気」、「義務感」、「おもてなし」、「超丁寧」、「外国人への不安」といった回答が挙がりました。
「おもてなし」や「超丁寧」は日本人の誇りであり、とても嬉しい回答です。
一方、「外国(人)への不安」、「謙虚」、「内気」に関しては、ビジネスをしていく上で課題となります。
「外国および外国人への不安」については、グローバル化が進む現代において大きな壁となりうる可能性があります。まずは思い込みをなくし、経験を積むことで年齢関係なく「外国人への不安」は解決できるでしょう。
また「謙虚」や「内気」については、日本では謙虚であることが良しとされ、日本人の素晴らしい特徴の一つです。しかし海外とビジネスを行う上では、この謙虚さがマイナスに働くことがあります。例えば、日本人と外国人が打ち合わせを行うと、日本人は自分の意見を言わない、わからないことを聞かない、なかなか発言をしない様子を見かけることがあります。これは謙虚さなどから来ていると思いますが、外国人からすると意見がない、興味がないと受け取られかねません。

日本では生まれたときからそう教えられてきたように、思いやりを持ち、常に相手の気持ちを考慮して物事を伝え、そして相手も気持ちを察してくれることでコミュニケーションが成り立っています。
一方イスラエル人を含む欧米人は、ダイレクトなコミュニケーションを好みます。明確な自分の意見、明確な会社の意見、いつまでに、誰が、何を、なぜ行うのか、というように、とてもストレートに表現します。言語的な要因もありますが、幼い頃から人前で意見を言うことを求められてきた彼らは、自分の意見を明確にストレートに伝えるのが得意なのです。

このように環境や文化、教育の違いにより、イスラエル人や欧米人と全く同じにはなれなくとも、打ち合わせ前に十分な準備を行うことで、自分の意見をしっかりと相手に伝えることができるでしょう。我々日本人とイスラエル人を含む欧米人とでは、異なるメンタリティを持っていることを理解し、それを意識することが大変重要です。
次に、イスラエル人がどのような性格が見ていきましょう。
20年以上にわたり、イスラエル企業と毎日コミュニケーションしている著者から見て、イスラエル人の性格は欧米人と比べて「生きる為の執念」、「絶対諦めない」、「エネルギッシュ」、「フツパー(大胆さや厚かましさ)」、「意欲的な性格」、「時間・お金など無駄が嫌い」、「レスポンスの速さ」、「質問能力の高さ」といった特徴が挙げられます。
まずは「生きる為の執念」「絶対諦めない」「エネルギッシュ」ですが、「生きる為の執念」があるから「絶対諦めない」、「生きる為の執念」があるから「エネルギッシュ」という風に、それぞれが相互関係にあると言えるでしょう。
この執念の背景には、イスラエルやユダヤなどの歴史的な要因が影響していると思いますが、ビジネスにおいて諦めないイスラエル人が多くいます。
日本企業があるテクノロジーを探している時の話です。イスラエル側のスタッフや友人達に競合情報や予算感を伝えると、何がなんでもそのテクノロジーを探してきます。直接知り合いがいなくても、友人を辿って探し続けます。イスラエル企業、イスラエル人をパートナーに持ち仕事を行えば、絶対諦めないパートナーを見つけたのと同然と言えるでしょう。
その反面、イスラエル企業が顧客になった場合、とにかく最後まで、しつこく(失礼ですが笑) 依頼されます。私はこのイスラエル人がする「しつこさ」が好きで慣れてしまっていますが。
ビジネス思考の違い

日本人のビジネスメンタリティは、プロセスに重きを置いたプロセスオリエンテッドです。このプロセスとは細かなスペックや競合との違いなど、詳細部分の情報を収集、理解してから最終アウトプットを出そうする思考プロセスです。
一方、イスラエル人含む欧米人ビジネスメンタリティは、コンセプチュアルです。すなわち、この商品やサービス、会社がどのような市場背景で、どんな価値提供できるかが思考プロセスのはじめに当たります。イスラエルを含む海外のプレゼンテーションやウェブサイトの多くが、どんな価値や何を提供するかといったコンセプトを表現しています。
海外のコンセプトから始まるプレゼンテーションを聞くと、「コンセプトではなく詳細が知りたいんだ」と思ったとしても、まずはプレゼンテーションをじっくりと最後まで聞き、不明点があれば質問をして必要な情報を入手する、もしくは事前にリクエストができる場合は事前にイスラエル企業へこのように話してほしいと伝えましょう。
イスラエルとビジネスを行う上での心得
イスラエルとビジネスをする上での心得ですが、ミスコミュニケーションを減らす為にも、伝えたい事の理由を明確にする事、全てに関してロジカルに伝える事、そして相手が望んでいる事を意識し、理解した上でコミュニケーションをとることが大切です。
特に下記の4点を意識することが重要です。
打合せの目的を明確化
打ち合わせが終了した時、どのような状況、状態になっている事を期待するか。
目的を明確にする事で、イスラエル企業にも明確なメッセージを伝えられるだけでなく、自分たちのゴールも明確化できます。
言いたい事を分かりやすく、明確に伝える
当たり前の事ですが、これがなかなか難しい。マクロもミクロも理解しているからこそ、わかりやすく伝える事ができます。伝えたい事を整理してから会議に臨む事をお勧めします。
3W1H
相手に伝える時に、何が、誰が、なぜ、どのように、をいつも意識して打ち合わせに望みましょう。
打ち合わせ後はプライベートへ
イスラエル人は仕事とプライベートのオンオフをはっきりしている人が多く見受けられます。ディナーは打ち合せの延長ではありません。陽気なイスラエル人と楽しいプライベートの時間を!
両国のそれぞれの文化、性格、そしてビジネス思考を理解したうえで、コミュニケーションを大事にしながら、世界最大スタートアップ大国イスラエルとより良い関係を築き、ビジネスをしていく事をお勧めします。
※記事は2021年7月19日に公開した記事を再編集しています


