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CULTURE

海底から誕生した不思議な照明デザインAQUAその魅力に迫る

by SHIYA AVNAT |2021年09月13日

イスラエルが地中海に面している事はあまり日本では知られていませんが、旧約聖書でモーゼが海の中を歩いて渡った紅海もまたイスラエルの南に位置します。


そんな紅海からインスピレーションを受けて30年前に誕生したのが、イスラエルのインテリアデザインメーカーAQUA(アクア)

まるで海底に潜っている様な錯覚を覚える幻想的なランプが誕生したのは、今から30年前の事でした。

アクアが誕生したきっかけは、デザイナー兼オーナーであるアルビがシナイ半島へ旅行した際に、シュノーケリングで紅海の美しい海の生き物とサンゴと出会ったことでインスピレーションが湧き、居ても立っても居られなった彼が海のスケッチを始めたのがきっかけでした。


そこから試行錯誤の末、AQUAの代表的なデザインであるMorning Gloryが誕生します。


イスラエルのインテリアデザインメーカーAQUA(アクア)の代表作Morning Glory
Morning Glory Floor Lamp

暫くした後、イタリアの展示会で日の目を見たAQUAは、そのユニークさとクオリティの高さから、瞬く間に世界中の建築家やインテリアデザイナーの中で高い評価と認識を得る事となりました。


30年間第一線で活躍中のアルビ・サーファティ
(Albi Tsarfati)に聞くAQUAとは?

イスラエルのインテリアデザインメーカーAQUA(アクア)のオーナー兼デザイナーを務め、30年間第一線で活躍中のアルビ・サーファティ

―――AQUAには様々なシリーズがありますが、基本の素材とラインは共通する部分がありますよね?

基本的に照明に使う素材がシルクの布、金属、木、フェルトなどの天然素材だからではないでしょうか。また彫刻のような線が全てのコレクションに施されています。天然素材に加えて、有機的かつ彫刻的な形により、時代を超越したデザインができるのです。


―――デザインはチームで考えていますか?それともアルビ1人で?


イスラエル発照明ブランドAQUAのライト

会社を設立してから30年になりますが、最初の20年間は妻がデザインを担当していました。2011年から私がデザインを担当しており、よりフェミニンなデザインになっています。


全てのデザイン工程は私たちのスタジオで行われており、布、木、鉄全ての制作担当者が匠レベルなので、個々それぞれアーティストと言っても過言ではありません。Moleculesコレクションには、折り紙専門の職人がいます。

受注はオーダーメイドで受けており、またハンドメイドなので大体3ヶ月位時間を頂いています。


▲AQUA制作の裏側


―――ここから各デザインシリーズについてお話を伺いたいと思いますが、それぞれの制作にはどれくらいの期間を要しますか?

アイデアを練るのは私にとって楽しい過程ですが、ドローイングからアイデアが出来上がるまで試行錯誤の末、大体1年以上かかります。


―――Code 130°はどこかの国のお祭りに迷い込んだような、ワクワクした気持ちになる照明ですね。


イスラエルのインテリアデザインメーカーAQUA(アクア)Code130シリーズ
Code 130シリーズ

Code 130° は、丁度コロナが始まった時期にふと思いついたデザインです。

コロナが始まった時期は、みんなどこか画面を見ているかのように下ばかりを見ていて。私達は下では無く上を見なければならない存在であり、上を見上げる角度がちょうど130度になるのでこの名前を付けました。大小異なる形態のカラフルなランプを見て、ハッピーな気持ちになってもらえればと思い制作しました。


―――Jewel Familyはモビールから着想を得ていますね。バランスを取るのは大変でしたか?


イスラエルのインテリアデザインメーカーAQUA(アクア)のJewel Family
Grace Mobile Light

この作品はアレクサンダー・カルダーから着想を得ています。数メートルある大きな作品なので、バランスを取る事は大変でしたが、それぞれのチームのスキルを統合して楽しく制作する事ができました。現在このコレクションは世界中でAQUAの代表作とみなされています。


―――MINOは日本の美濃が由来しているのでしょうか?


Mino 18 and 28 in Rust, Gold, Silver and Dark Silk
MINOコレクション

MINOのデザインは着物の帯から着想を得ています。

私達は作品によって素材を使い分けています。同じシルクでも、ナチュラルシルクは色もテクスチャーも素朴で美しいのです。


格子状に建てられた日本の古都にちなんで名付けられたNaraコレクションは、幾何学的な要素を取り入れています。


またMolesculesコレクションは、日本の伝統的なランプから紙を使う着想をヒントにした物をありますが、逆に日本独特の美しい空間である床の間に、美しいライトが無いと思った事がきっかけとなって生まれたライトもあります。このライトはシルクではないフェルト生地を使用していますが、自然の素材を使うと言う点ではシルクと共通しています。


イスラエル発照明ブランドAQUAのTOKONOMAライト

96 Molecules Table Lamp
96 Molecules Table Lamp 

ライトは写真家時代から私にとって大変重要でした。また照明の色は体調や感情にまで影響します。その為、Lighting Experience Designコレクションのライトの強弱を簡単に行う事が出来たり、光の強さによって色の表情が変わるようにも全てのデザインを調整しています。

現在デジタルの新しい作品を製作中であり、照明とデジタルの融合を図っています。年内に発売予定です。


Manta Ray LED Dynamic Wall & Ceiling Light

弊社の製品は30年前のデザインであるにも関わらず、飽きの来ないデザインとなっています。シャネルを例とするように、良いデザインはロングランで利用できアイコンにもなり、また、ヘリテージ(遺産)としても受け継がれる力があります。


―――日本に何度も訪れているとのことですが、その理由は何ですか?

17歳の時に禅を教わり、軍隊が終わった後に日本に行きたいと思っていたのですが、ロンドンに行って写真を撮り始めてしまいました。ロンドンで日本人に会い、日本への思いは消えていない事を確信しましたが、その後月日が流れ、15年後に初めて日本を訪れてからは、そのまま日本をよく訪問出来るようになりました。


桜の時期に、京都の仁和寺でエキシビジョンを開催する予定でしたが、コロナで開催が延期となり非常に残念です。ちなみに日本で禅はまだ体験出来ていません。(笑)


―――日本の好きな食べ物と好きな場所を教えてください。

初めて食べたおにぎりがとてもファンタスティックでした。意外な事に、サンドイッチも種類が豊富で美味しかったです。

場所と言えば、とにかく京都が好きです。禅ガーデン等の庭がとても美しく、また動物の彫刻や彫り込みが、モナリザと同レベルの500年以上も経つ作品なのに、ガードもなく、すぐに見られた事は驚きでした。

また庭のデザイン構成も、500年以上前とは思えない程新鮮で感銘を受けました。


―――イスラエルのオススメを教えてください。

月並ですが死海と砂漠をオススメします。レストランはテルアビブにあるNorth Abraxasがオススメです。


イスラエルのインテリアデザインメーカーAQUA(アクア)のデザイナー
まるで舞台の裏側に迷い込んでしまった様な制作現場
イスラエル発照明ブランドAQUA

オフィスや工場を訪れていると言うより、モダンアート美術館を訪れたような感覚を覚えるその場所で、海の底に沈んだ宝物の様に何年経っても色褪せない家具と照明達に静かに囲まれつつ、AQUQは今日も時代を超えて愛される照明をほんわりと照らしながら誕生させています。


https://aquagallery.com/

info@aquagallery.com



ブランドへのお問い合わせは、日本マーケットマネージャーのネタ・カルマンソンまでご連絡ください。